療育的観点から「誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた! 」が増えるトレーニング 」
ミスお役立ち度 ★★
空気読役立ち度 ★★
仕事お役立ち度 ★★
知識が深まる度 ★★★★★
本として面白度 ★★★
※評価はその時の気分で左右される主観的なアレです。
本書は私がテーマにしている大人の発達障害ではなく、子供の療育にフォーカスされたものです。
ですが冒頭が当事者目線ではホラーです。
適切な療育がされなかったと推測される大人の発達障害の人のトンデモ事例が書かれていて、もう叫ぶほかありません。親の遺産3000万円をFXの失敗で瞬く間に溶かしたり、カレンダーの見方がわからないせいで家がゴミ屋敷になったり…。いきなりエキストリームな事例が飛び込んでくるので、もう大人になってしまった身からすると震えて眠る以外に対応が見つからないかと思ってしまいます。
が、当たり前ですがこれは本筋ではなく、そもそも上記のようなお困りごとを未然に防ぎたいというのが趣旨なわけでして、発達障害と診断されている子も、診断されていないけれども困りごとがある子も、どうやったらうまく学んでいくことができるかということが事例別に丁寧に説明されています。
本書の目的の一つとして「誤学習を防ぐ」というワードが掲げられています。これはどういうことかというと、発達の凹凸ゆえに生活のさまざまなことを間違えた理屈で覚えてしまうことらしいです。
わー身に覚えあるぜ…そして周りの「困ったちゃん」な大人たちにもそういう人いるぜ…。
これ、最近見たツイートで、60歳くらいのお父さんがじゃんけんのルールを知らなかった(相手のリアクションで自分の勝ち負けを判断してた)ってのが有ったんですが、たぶん当該事例ですよね.。
こうならないためにどうしたらいいか。
本書では
・物事の処理方法を複数獲得しておく
・場面に応じてその選択肢を選ぶ力をつけておく
ことだと書かれています。なるほどーこれは大人でも間に合いそう。
結局、発達の凹凸によって学びの過程で「自分が快適にできるもの」に極端によってしまうというのがよくないようです。
発達障害を抱える(あるいはグレーゾーン)の子が自立できるように、と事例はかなり日常生活寄りです。たとえばおつりの計算やカレンダーの読み方などなど。
この辺りは自分目線だと余裕でできてることなので、軽くスルーだったのですが、すごく驚いたことが1点。場の決定権についてです。これが理解できていないがために度の過ぎたわがままを押し通そうとすることに繋がったりするらしいです。なるほどー場の決定権って、教えられることもなく身につけていたので、気づきもしませんでしたが、これも学習して身につくものの一つだったんですね。(ちなみに、この考えで息子3歳に接するようにしたらかなりわがままが楽になった)。
ということで、メタ的に色々な学びがある一冊でした。
学べること
発達障害がなぜ生活に
使えること
メタ的に学ばねばいけないのに定型発達の場合特に話題にされないようなさまざまなルールの明文化